東京都は多摩市の多摩センターの駅前のビルが今回の現場て゜す。
当店は町場(低層の一般住宅や集合住宅)のお客様が主なお取引先ですが
この現場は仕事仲間の応援という形で入らせて頂きました。
たしか、13階建てくらいの雑居ビルで居酒屋や美容室がテナントとして入っていました。
工事の内容は改修工事であり、外壁の塗装もふくまれていました。
私どもの請負箇所は主に非常階段の外壁塗装でした。
屋上にも一部工事箇所があります。
ただ、普段は非常階段では屋上へは上がれません、13階から屋上へ向かう階段
には扉があって施錠されているからです。
一説には飛び降り自殺の懸念とききますが、外部の設備もずいぶんありますので、
イタズラ防止のためかもしれません。
ところで、このビルの昇降設備、手段ですが、
@展望エレベーター
A非常階段(外部)
B螺旋階段(内部)
と3つあります。
@は各店舗の営業時間帯のみ利用できるみたいですが
それ以外の時間帯はエレベーターはその階に止まれません。
私ども作業員は基本的には使用不可です。
13階までしかいけません。
Aは塗装を請け負った外壁がある階段です。
13階と屋上の間の階段に扉か゛あります。
扉の鍵はかんぬき錠型で屋上側からしか施錠、開錠できません。
Bは内部で窓のない螺旋階段です。
エレベーターと隣り合っている位置関係です。
各階に鉄の扉がありますが店側から施錠されていると
各フロアーには立ち入れません。
屋上階までいけますが屋上外部にでるドアーは施錠されています。
しかし、そばにダイヤル式のキーボックスがあり扉の鍵が収納されています。
塗装を含めた改修工事はある程度の日数がかかります。
一日の作業が終了すると現場で使用する道具はすべて下げて持ち帰ります。
雑居ビルなので置いておくスペースは無かったですし、通行の邪魔になりそうだった
ので持ち帰った方がたしかに、無難でした。
屋上の塗装作業がある日は扉に鍵をかけて帰ります、ちょっと厄介です。
まず、外部にある非常階段にある屋上に通じる扉をしめてかんぬき錠をかけます、
そのまま、屋上に上がって、こんどは内部にある螺旋階段室にはいり、
内側から、その扉に鍵をかけます。
鍵はキーボックスに入っているので、4桁の暗証番号を打ち込み、ふたを開けて
とりだします。
鉄扉に施錠して鍵をキーボックスに納めます。
螺旋階段を14階分降りて、ようやく帰宅できます。
ところが、ある日のこと、その日は最後まで作業していたのはわたし一人だけでした。
暗くなってきたので、そろそろ片づけて、例によってキーボックスに暗証番号を打ち込んで鍵を取り出そうとした時です。
開かないんですっ・・・?
「あれー、なんで開かないんだろー?」てな感じで、とりあえず、もう一回やってみることに
しました。やっぱりダメ。
再度、さらに慎重に暗証番号を打ち込みます。
やはり、開きません。
ちょっとしたことで、キーボックスの具合が悪いのかなと考えて
それぁもう何回も何回も
やり直しましたし、チャレンジしたことは言うまでもありません。
さすがに、人差し指が痛くなってきました、最後にしょうがないので、仕事の元請けの友人に電話して連絡をとりました。
帰ってきた答えが結構冷たかったのを今でも覚えています、
「番号、ちゃんと押してんのかよ、もう一回やってみろよ!」てな感じでした。
電話を切って、仕方がないので、また何回か打ち込んでみましたが
金輪際開きません。
すると、元請けの友人から電話がかかってきました、
「あー、わりぃー、悪ぃー、オーナー側が今日暗証番号を変えたらしいんだよね。
何か、定期的に変えるんだってさ。」
「まー、改修工事をやってるんだから工事側の人間にも教えりゃいいのになぁー、
まったくよー。」ということでした。
まあ、良かった、ほっとした、というのがその時の思いです、
憤りを感じてくるのは、すこし経ってからです。
現場では様々なことが起こりますねー。
昔の職人さんは、その日に最後まで現場で作業することを
嫌がるというか避ける方が多かったですが
トラブル回避の一つの知恵というかコツだったんですね。
それにしても、指が痛いなー。